今日も電車は走る。たくさんの人の人生を乗せて。
会社に行く人。学校に行く人。遊びに行く人。家に帰る人。
日常の中に溶け込まれた風景だ。
中には危篤になった父の病院へ向う人。
別れを決め、彼の元へ向かう人。
定年を迎え明日から電車に乗らない人。
仕事の納期が迫りながらも、一旦家路に向う人。
必ずしも全員が日常の延長で電車に乗っているとは限らない。
そんな時、人身事故で電車が動かなくなったらあなたはどうしますか。
電車に飛び込み自ら命を絶とうとする人のせいで、
人生を全うし、もうすぐ消え去る父親の元にすぐに駆けつけることができない青年。
急ブレーキで電車が停まったことで、折角決意をしたのに、自分の気持ちにもブレーキをかけようとするキャリアウーマン。
事故で停まった電車はすぐには動いてくれない。
そんな車中で人は何を思うのか。
全部で7つの物語が収録されているが、オムニバス形式でつながっているわけではなく、1話完結の物語。
共通していることは、電車、駅、事故によるトラブル。
さまざまな形で、電車や駅を中心に物語が進んでいく。
だからといって、電車の中で読むのは止した方がよい。
なぜなら涙なしには読めない作品ばかりだからだ。
ボックスシートで40過ぎのオヤジが涙を流しながらこの本を読んでいたら、目の前の女性にドン引きされたことは付け加えておこう(笑
きっとあなたにも、この7つの物語と重なる瞬間があるから。
第9回エキナカ書店大賞
希望と感動のミステリー第1位
どうぞ泣きたい人は、自宅でゆっくり堪能してください。
超おススメです。