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アイデアブログ

いよいよプロ野球も終盤。もう一つの隠れた戦いに注目したい。

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プロ野球ペナントレースもいよいよ終盤戦を迎えている。セ・リーグは広島、パ・リーグはソフトバンクの優勝で幕を閉じそうだ。
あとは両リーグとも、クライマックスシリーズ進出がかかる2位、3位にどのチームが食い込むかに注目が集まる。
パ・リーグは、西武、楽天の2位争いが熾烈だが、3位の楽天と4位のオリックスとのゲーム差が12も離れている。
残りのゲーム数で考えると、オリックスが3位以内に食い込むのはむつかしいだろう。
パ・リーグのクライマックスシリーズ出場チームはソフトバンク、西武、楽天でほぼ決まりだ。

片やセ・リーグは、2位阪神と3位DeNAのゲーム差4.5。
3位DeNAと4位巨人のゲーム差は1と混沌としている。
どのチームがクライマックスシリーズに出場するのか最後まで目が離せない。
追いかけるほうが辛いのか、追われる方が辛いのか。3チームのファンは、スタジアムでテレビの前で、この数週間は一喜一憂しそうだ。

そしてもう一つ注目したいのは個人タイトル。

近年クライマックスの出場権が与えられるようになり、消化試合が少なくなった。以前のようにタイトルだけのために、投手が登板して勝ち星をつけたり、打率を落とさないため試合に出ないという現象は減ったように感じる。
どのチームも、まずは優勝。まずはクライマックス進出だからだ。

今では考えられないが、30年ぐらい前は最多勝の争いをしている投手に勝ち星(勝利)をつけるため、自軍がリードしていると先発投手を4回途中で降板させ、勝ち星をつけたい投手が登板し、勝ち星をつけさせるということをしていた。

勝ち星がつくには、一定のルールがあるので、その後の登板する投手のイニングも計算しないといけない。つまり試合の展開で投手を交代するわけではなく、勝ち投手の権利を計算して交代する。まさに消化試合でなければサポートできない方法だった。優勝がなくなると次はチームの誰かにタイトルを、そんな時代だった。

そして私が今注目しているタイトル争いは、菅野智之(巨人)と菊池雄星(西武)。この二人の対決だ。えええリーグが違う?なんで?

察しがいい人ならすぐに分かるとおもう。
そう、あの江川卓氏曰く、私が獲れなかったタイトルで唯一欲しかったタイトル。
それは沢村賞だ。と言った沢村賞だ。

沢村賞はその年に最も輝いた先発完投型に贈られる賞だ。リーグごとの公式表彰項目ではないが、公式の表彰に準ずる特別賞であって、プロ野球の投手であれば誰もが憧れる賞。

登板数。完投数。勝利数。勝率。投球回数。奪三振。防御率。7つの項目に選考基準があり、その項目をクリアーするか同等の成績を収めると選考の対象となり、選考委員(元プロ野球選手)による審査を経て受賞が決まる。

つまり総合評価での授賞となるだけに、先程の小手先だけの数字を伸ばすだけでは受賞できない。

実はこの全ての項目をクリアーして受賞できなかったのは江川さんだけなのだ。
江川さんが受賞できなかった年までは、実はスポーツ記者の投票で決定する仕組みが取られていた。単純に言ってしまうと、江川さんは記者に嫌われていたので、票が思ったほど伸びず、同僚の西本聖さん(当時巨人)が受賞してしまった。しかし江川より成績の悪い西本が受賞したと、これが物議をかもし、翌年からはスポーツ記者が選考するのではなく、選考委員に委ねられることになった。

7項目(クリアーすべき目安)は
登板試合数 – 25試合以上
完投試合数 – 10試合以上
勝利数 – 15勝以上
勝率 – 6割以上
投球回数 – 200イニング以上
奪三振 – 150個以上
防御率 – 2.50以下

そこで注目すべきは、菅野智之(巨人)と菊池雄星(西武)、現在の成績だ。

チームの残り試合数を考えると、共に登板は4試合程度残されているだろう。
怪我なく順調に行けば、完投数、投球回数は届かないまでも、それ以外の5項目はクリアーしそうだ。

近年希にみる接戦だ。奪三振や防御率は違うが、あとの数字は両者とも比較的近い数字になっている。

ダブル受賞となれば2003年の井川さん(阪神)、斎藤和さん(ソフトバンク)以来となるが、この時は両名とも20勝という勝ち星とチームが優勝しフル活躍というイメージがあった。しかし、基本はその年に最も輝いた先発完投型に贈られる賞のため、一人にしか贈られない。

▼菊池雄星(ユニホーム)

江川さん以外で、全ての項目をクリアーしたのに受賞できなかった例もある。
2008年・2011年のダルビッシュ(日ハム)、2013年金子(オリックス)だ。
理由はその年、それ以上に素晴らしい成績を収めた投手がいたからだ。

(2008年岩隈(楽天) 2011年田中(楽天)2013年田中(楽天)が授賞。ダルビッシュも金子も違う年に授賞したので、実質全てクリアーして生涯一度も手にできなかったのは江川さんだけということになる。)

菅野、菊池とも全ての項目をクリアーすることはむつかしい。となれば、ダブル授賞は絶対にないだろう。
あくまでも総合評価だが、ダルビッシュ、金子の落選時の例をみると勝ち星の多い方に軍配があがるようにも感じている。
そのためにも、残り試合で両投手一つでも多くの勝ち星を積み重ねたいところだ。
それが自軍の順位を一つでも上げることに貢献する。

プロ野球ファンなら、こちらも最後まで目が離せない戦いになりそうだ。

▼ 斎藤雅樹さん 最多の3回授賞

*記事中のデータについては2017年9月9日0:00現在のものです。
*表の、菅野、菊池の投球回について、1イニング(1回)に満たしていないものは切り捨てて表示しております。
例)165回1/3 165回2/3 ⇒ 165回

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