先日中学生のお弁当1食あたりに6,000円の税金がかかったという記事をみつけた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180326-00000004-asahi-soci
釣りタイトルのようだが、記事によれば横浜市がはじめた中学生の向けの配達弁当、ハマ弁事業に充てられた税金の総額を利用数で割ると、1食当たり6,000円分の税金がかかっていたことがわかった。
この値は2016年度の試算結果で、今年度は2,000円まで抑えられると記されている。
事業を補助するのに、いくらまでなら適正価格かという判断は難しいが、1食あたり6,000円または2,000円のお弁当ということだけで判断するならば、正直理解するには苦しい金額だ。
ハマ弁について簡単に説明すると
横浜市の公立中学校では、調理施設、いわゆる給食センターを備えていない学校が多く給食がない状態だ。
横浜市の中学生のお昼は、自宅から持っていくお弁当が主流である。
時代の変化で共働き家庭が多くなり、給食の実施を巡って要望が強くあったが、敷地の確保や予算の面から見送られ、家庭でお弁当を持たせなくて済む宅配弁当制度が導入された。それがいわゆる“ハマ弁”事業というわけだ。
横浜市ニュースリリース(ハマ弁事業について)
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201709/images/phpe6nwAI.pdf
しかしハマ弁は給食の代わりでなく、家庭でお弁当を準備できない代わりにお弁当を届けてくれるサービスという位置ずけだ。
つまり生徒全員に配給されるわけではない。
あくまでも希望すればその制度を利用することができるというだけで、従来通り家庭からお弁当持参もOKなのだ。
ハマ弁利用者は1週間単位で事前申し込みをする必要性があり、頼んだ家庭は費用を負担する仕組みになっている。
しかし実際に家庭から徴収した金額だけでは、事業委託先の利益が確保できないので、差額分を税金で補填しているというわけだ。
結果その補填額が1食あたり6,000円になったというわけだ。
当初は全体の20%程度が利用すると見込んでいたが、事業を開始したら全体の1%しか利用者がいなかったという。
つまり面倒でもお弁当を準備する家庭が多いということだろう。
また当日何らかの理由でお弁当を準備できないときのために、当日のみ業者に手配できるお弁当も準備されているとなると、事前申告でハマ弁を頼む家庭は限られる。
横浜市は選択が増えて良いと言っているが、今のハマ弁の利用率を考えると、給食という位置ずけで全員にお弁当を配給するか、ハマ弁をやめて、当日手配できる業者の弁当に補助する仕組みに切り替えた方が良いと言える。
また上記の図(スキーム)のからわかる通り
横浜市の教育委員会から委託を受けた管理会社が取りまとめ役をし、3箇所の製造配達会社が実務を担っている。
また教育委員会から委託を受けた管理会社とは別に、3社の製造配達会社を管理する会社がもう1社入間接経費をかけすぎだ。
単価の安いものほど、間接経費をかけると単価に繁栄されてしまうので、数が出ないなら見直す必要があるだろう。
一歩新しいことにチャレンジすることは勇気があり素晴らしいことだが、行政は一度始めると、辞める、留まる、見直すという文化がなく、システムを上書き保存していく。
この制度がさらなる飛躍をするためには、今のスキームを白紙に戻し制度設計し直す勇気が必要だろう。